<豊かさと幸福を問い直す>

  第二次大戦後、わが国は豊かな国となり、人々が「繁栄」と呼ぶ状況を生みだした。

  私たちは、あまりに簡単に幸福になりすぎた。

  人々は、それは公正であるか否かを議論した。

  私たちは戦争を回避し、工場を建設し、そこへ農民の子どもが働きに行った。

  農業社会は解体され、私たちの国は新しい国になったが、人々が本当にわが家にいるといっ

た感覚をもてたかどうかは確かではない。

  1950年から60年に至る10年間に、毎日300戸の小農家が閉業するというスピードで、わが国

の農業が終焉した。

  人々は大きな単位、大きなコミューン(市町村)を信じ、都市には遠い将来にわたって労働が

存在すると信じた。

  私たちは当然のことながら物質的には豊かになったが、簡単な言葉でいえば、平安というべき

ものを使い果たした。

  私たちは新しい国で、お互いに他人同士となった。

  小農民が消滅するとともに、小職人や小商店が、そして、病気のおばあさんが横になっていた

あの小さな部屋、あの小さな学校、あの子豚たち、あの小さなダンスホールなども姿を消した。

  そういう小さな世界はもう残ってない。

  小さいものは何であれ、儲けが少ないというのが理由だった。

  なぜなら、幸福への呪文は〈儲かる社会〉だったからだ。

                  スティーグ・クレッソン(Stig Claesson)