2006年02月16日朝日新聞

 まちづくり地域課題研究サロン
 トークバトル
【地域の自立とはなにか!】

<1>4人のカリスマ

●地方の資源 ブランド化●

●「結局、経済的に自立するしかない」●

 太平洋に面した高知県東南部にある安芸市から清流・安田川に沿って20キロほど狭い山道を進むと馬路村がある。
 昨年の暮れ、若松進一・旧双海町教育長(61)、 内子町で農業のIT化に取り組むハーブ農家森本純一さん(52)、 徳島県上勝町の第三セクター「いろどり」 の横石知二副社長(47)、馬路村農協の東谷望史専務(53) の4人が集まった。
 若松さんは、夕日をキーワードに旧双海町を年間55万人が訪れる観光地に育てた。
 森本さんは、年商6億を超え、IT化で知られる農産物直販所「内子フレッシュパークからり」 の元企画情報部長。
 横石さんは、料理に添えて季節感を演出するモミジなどの葉っぱを出荷するビジネスを立ち上げ、ゴミゼロの町づくりも進める。
 東谷さんは「ゆず飲料」 「ぽん酢しょうゆ」 など、ゆず加工品販売額30億円の農協を実現させた。
 地方に眠る資源を掘り起こして全国ブランドに育て上げる「地域づくりのカリスマ」 たちだ。
 4人を集めたのは、(財)えひめ地域政策研究センターの清水和繁研究員(52)。
 県内初の気象予報士で、果物の朝食で健康な体をつくる「えひめ朝フルの会」 に参加するミカン農家でもある。
 清水さんが企画書を配った。
 「まちづくり地域課題研究サロン〜トークバトル 地域の自立とはなにか!」。
 午前10時半に開会して午前中は各自の講演。
 午後は4人で討論し、会場を巻き込んでひざづめ談義も交わす。
 閉会予定は午後7時半。
 「延々9時間。ハードやね」。
 声をそろえた4人に清水さんが力説した。
 「地域の自立は結局、経済的に自立するしかない。地域資源を全国ブランドに育て上げたノウハウを伝授するサロンにしたい。サロンの支配人は私が務めます」
 「墓参り以外の人は来ないと言われた町だった。夕日で売り出そうとふたみシーサイド公園を計画したら、赤字が出たらどうすると議会で攻められたので、黒いボールペンで書きますと答弁したら怒鳴られた」 と若松さん。
 「ゆず果汁をデパートの催事で売ることぐらいしかできなかった。宿泊費を浮かすため、出発はいつも夜だった」。東谷さんが続けた。
 横石さんも「葉っぱを金に換えられるのはタヌキだけと笑われたこともあった」 と振り返る。
 4人とも順風満帆ではなかった。
 厳しい過疎と高齢化の中で、この地域は衰亡するしかないという強い危機感の中、自分の信ずる道をひた走ってきたという。
 「これまでの歩みを話しましょう。4人の共通点と相違点が見えれば、地域の自立を考える参考になるかもしれませんからね」
 森本さんが4人を代表してサロンへの参加を快諾した。
   ◇   ◇
 4人は四国を代表するアントレプレナー(起業家)。
 その4人が顔をそろえる贅沢(ぜいたく) な機会はそうない。
 サロンが松山市道後姫塚のメルパルク松山で24日に開かれるのを前に、4人の地元を訪れ、地域が自立する条件を考えた。

若松進一さん
森本純一さん